上田廣道さん

上田廣道さんが亡くなって5年くらい経ちます。

この方は、私のJA時代の上司に当たる方で、恩人の1人でもあります。

一番最初に声を掛けられたのは、私がJA に入ってすぐ「営農販売課」に配属されて、その歓迎会の宴席でした。 

酒席の中で、「よろしく」と挨拶に来た角刈りの小柄な上田さんはいかにも現場叩き上げの職人といった雰囲気の方でした。

一通りの社交的な挨拶を交わした後に、上田さんが語り出しました。

「山浦君は、大学で法律を学んでいたそうだね。今回JAに入った中で大卒は君だけだった。最初の挨拶もしっかりしていて、さすが大卒だなと思ったよ。」

「そんな君が営農販売課に配属された。営農販売課は正直大変な部署だ。君が学んだ法律の知識はほとんど役に立たない、肉体労働の多い部署だ。」

「君は正直、営農販売課ではなく、法律の知識が活かせる金融や総務といった部署に行きたかったのかもしれない。この人事に不満があるだろう。」

その時、私は驚きました。

誰にも言ってなかったけど、その通りだったから。

上田さんは続けます。

「だがな、営農販売課はJAの一番大事な部署だ。農家組合員から農産物を受け取って、一円でも高く売る努力をする。農家組合員と話ができて、農家組合員と直接触れあえる。」

「君はいずれ出世してJAの中核となるだろう。その時に、必ず、営農販売課にいて良かったと思える日が来る。」

「だから、腐るなよ?」

慰めるような、諭すような、上田さんの語りに私は雷に打たれたかのような衝撃を受けたのを、昨日のことのように思い出します。

私はその時から、上田さんに騙されたと思ってここでがんばってみようと自分に誓いました。

「3年くらいで次の部署に行くだろうからそれまでがんばれ。」と笑いながら去っていきましたが、


結局9年いましたよ、上田さん(笑)


でも、確かに上田さんの言った通りでした。

営農販売課を経験できて本当に良かったと心の底から思っています。


でも、出世する前にJAやめちゃいましたけどね(笑)

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